(Photo by H Kashiwaba) 「電気執事が夢を見る」

 

電気執事が夢を見る  落ち葉の舞い散る秋のこと

それはそれは可愛いお坊ちゃまのもとに仕えることになったのだ

家柄の良い 優しいお坊ちゃまに

永遠の忠誠を誓います

そう 厳しい訓練にも耐えてきた 電気執事でございます

空にはカシオペヤ  地上にはイルミネーション

今でも思い出す

ワインがなみなみ注がれたグラスをこぼさず階段を駆け上がる訓練

早着替えしながら美しい身だしなみをすばやく整える訓練  ご主人様に逆らう回路を持ち合わせていない  電気執事でございます 寒い夜には暖房にもなる電気執事でございます

星の谷間に夢のバルーンを浮かべるお坊ちゃま ワインを傾けながら暖炉の前でお坊ちゃまが言った  ・・・僕は 世界中の人々を 幸せにしたいんだ・・・

お優しくてございます、お坊ちゃま。

・・・僕の育ったこの日本は 清らかな小川に 見事な山々  美しい国 美しい国 みんながもっと この国を愛するべきだろう そう思うだろう?

そうでございます、お坊ちゃま。

・・・男は働いて社会を引っ張り、女性は家で安心して子供を育てれば、子供はいつもママの笑顔を見て育つことができるし・・・障がいのある人にはかわいそうなのでたくさんの保護を与えて施設も作って・・・悲しいホームレスも無くなればいいのに・・・そうすれば、美しい国になると思わないか。そんな理想の世界を作りたい・・・ 森の上空に膨らむ風船は 月より大きく。 そうでございます、お坊ちゃま。

空にはシルクのタペストリー 星座のブローチを付けられて綺麗だ

だけど地上には星は一つもない  あるのはつくられた明かりだけだ

電気執事はお坊ちゃまの手を握った おや、電気執事の手は冷たい

そろそろ充電が切れたのだ

・・・おぼっちゃま、おぼっちゃまは・・・素晴らしい・・・青年・・・です・・ね・・・

・・・わ・・・たくしは・・・お坊ちゃまなしでは・・・生きては ゆ か れ ま せ ん ・・・

お坊ちゃまの手と電気執事の手が繋がれて充電が始まった このお屋敷には たくさんの電気執事が居て 充電が切れそうになると お坊ちゃまの手から 電気をもらっていたのだ

充電される電気執事たちの声が 冬空にこだまして 鳴り響いていた

 お坊ちゃまは素晴らしいかた    お坊ちゃまは素晴らしいかた     お坊ちゃまは日本を作るべきおひと      お坊ちゃまは素晴らしいかた・・・ (オープンマイクEGPP 「執事をめぐる冒険・アベロードは電気執事の夢を見るか?」書き下ろし)

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